同じ船に揺られれば

キャプテンには夢がある。いつか集めたたくさんの財宝で、人々に夢を与える。希望を生み、未来を創る。自分以外の、1人でも多い誰かのーー

船にはたくさんの船員が乗った。時々嵐が来た時に、帆をたたむ協力をしてくれる者もいれば、旅の途中で降りた者もいる。船長が毎朝コンパスをチェックしては、その日の航路を考えていることを理解している者はほとんどいないが、それは仕方のないことだった。

しかし、仕方ないでは済まされないことが起こった。ある日、1人の船員がキャプテンに行った。

「あんたは自分の野望のために、多くの人を巻き込んでいるが、自分がこの船で貢献しないのに、一体誰があんたについてきてくれるのか。」

キャプテンはショックで、ひどく苦しんだ。自分について来て欲しいなど思ったことはない。自分の夢に共感し、誰かのために頑張る人を募ったつもりだった。或いは、多くの船員にとってそれぞれ好きなことを実現する場を整えているつもりだった。

その船員は、船長がやっていることを自己満足だと解釈しているらしい。船員は、「人のため」という言葉を本当の意味では理解していないようだった。

同じ船に揺られてきたにも関わらず、このような現状がある。キャプテンは自身の想いを胸にしまい、去っていく1人の船員を追うことはしなかった。

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